UniqueNotes ~やさしい療育日記~

心とからだの「発達」と「療育」発達ゆっくりの長男と次男を育てる二児の母が発達障がいに向き合う日々をつづります

NICU(新生児集中治療室)ってどんなところ?~生後5日で鼻腔狭窄による哺乳障害で入院した息子の場合~

家の整理をしていたら、2012年のダイアリーと県立病院の入院の手引きが出てきました。

長男は生まれてすぐに右鼻腔の狭窄音(泣いてるとき以外でも、「フガフガ」と鼻詰まりのような音がする)を指摘されて、産院を退院した日にそのままNICUへ転院しました。

私は恥ずかしながらその日までNICUに関してほとんど知識を持っておらず、わけの分からないまま入院することとなったのです。

 

産院から県立病院の新生児科(総合周産期母子医療センター)へ

 

県立病院に到着して、まずはじめに産院からの紹介状を持って新生児科で診察を受けました。

産院の先生から県立病院に大まかな症状を説明してもらっていたので、私からほとんど説明せずに赤ちゃんだけ検査室に連れていかれ、耳鼻科によるコンサルタントがすぐに行われました。

もう、ただただ不安で。私自身、産後5日しか経っていなかったので、おろ(出血)や子宮収縮による痛みを退院する時まで感じていたのですが、県立病院の待合室では、きつさを感じる余裕もありませんでした。

 

生まれてまだ5日しか経っていないのに、どうしてこんな場所にいるんだろう。

脳に酸素が届きにくい状態だと障害が残るのではないだろうか・・・。

入院するほど深刻な状況じゃないのかもしれない・・・。

それとも、右鼻腔は閉塞していて手術が必要だったらどうしよう・・・。

色んなことを考えていましたが、私も旦那さんも口にすることはありませんでした。

お互い、ママ・パパになったばかりで、動揺していたのです。

 

鼻腔狭窄の精査加療

 

耳鼻科では、新生児用のファイバー検査(鼻に管を通して閉塞していないか確認)を施行されました。

調べてみると、右だけではなく両側鼻腔ともに非常に狭く、新生児用ファイバー(外径約2.1ミリ)がなんとか通過する程度。(検査後抱っこした時は鼻血が出ていて、とても可哀相でした・・・。)

長男の場合、呼吸を確保するために、エアウェイ*1挿入による気道確保も検討されたのですが、呼吸状態がそれほどまでは悪くなかったため、血管収縮薬*2の点鼻治療を行い、NICUで入院しながら経過観察をすることになりました。

 

NICUでの入院生活

 

3時間ほど待った後、NICUに入院する手続き・医師による説明が行われました。

旦那さんと二人で部屋に通され、現在の赤ちゃんの状態や入院中の治療方針、今後の追加検査の可能性など1時間以上かけて話を聞きました。

私はそこで、はじめて泣きました。

怖いのか、悲しいのか、可哀相なのか分かりません。県立病院に来て気を張り詰めていたその緊張が一気に解かれ、涙が止まりませんでした・・・。

 

NICUは完全看護です。

保護者は付き添いで一緒に入院することはありません。看護師さんが交代で24時間体制の下、赤ちゃんを大切に管理してくれます。

パパとママ以外はたとえ親族であってもNICUの治療室に入ることは許されません。(祖父祖母やきょうだい等でもだめです)お見舞いに来てくれた家族は、治療室の外に待合スペースがあり、そこからガラスの窓越しに面会することが出来ました。

私や旦那さんが、NICUの治療室に入る時は、

①外で手洗いを念入りにします。

手首のさき、腕まくりをして広範囲を石鹸とアルコール消毒をして清潔にします。

②治療室のドアは手で開けません。

ひじを使って、清潔にした手のひらが汚れないように気をつけて入室します。

*生まれたばかりの小さい赤ちゃんは、外部からの細菌により重症化する危険があるので、中に入る人を限定させて、さらに消毒を徹底させているのです。

 

入院期間中は、赤ちゃんは肌着だけ着て、タオルにくるまれていました。

たくさんの管が体についていて、こんな小さい体に・・・と可哀相でしかたありませんでした。

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でも、日に日に「しっかりしないと、がんばってるのは○○(長男)なんだから・・・前向きにならないと、がんばってる長男に失礼だ!」と考えるようになって、管が付いている長男を見ても可哀相ではなく、かわいい、と思えるようになりました。

 

入院5日目:CT検査

長男の鼻腔や脳に腫瘍が無いかを調べるため、CT検査をしました。(睡眠導入薬を使用するための同意書など、いくつかの書類にサインをしました)

 入院6日目:MRI検査

 脳の中身を精密に検査しました。ちょっと左シルビウス裂がやや広い程度でこれも経過観察という結果になりました。

 

入院生活~ママとパパとのふれあい~

 

パパから抱っこされて、お昼寝もしました。

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 これは沐浴をパパからしてもらって、気持ちよくなり眠ってしまった一枚です。

お家で出来ないことも、NICUで沐浴の練習母乳をあげる練習もしました。

 

 

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 左にあるウサギのおもちゃは家から持ってきたものです。手にはめるミトンも用意しました。泣くと鼻が詰まって苦しいので長男はほっぺをつめで引っかいていました。

 

NICUに持っていったもの

 

・母乳(私自身・搾乳して凍らせたもの)

・おもちゃ(布製のものにしました)

・ガーゼ(着替えは必要ありませんでした*有料で病院のものを使用しました)

・カメラ(たとえ病院にしても、新生児の子どもの様子を残しておきたかった)

使用した搾乳器や保存パック

 私は手動の搾乳器を使いました。結構疲れたので、今となっては自動でもよかったかもしれません(笑)保冷バックと保冷剤も購入しました!(母乳は凍らせて保存します)

 

カネソン 母乳バッグ 100ml 50枚入

カネソン 母乳バッグ 100ml 50枚入

 

 これに入れて、パパに母乳を運んでもらいました。保冷バックに、保冷剤を入れて温度が上がらないように注意して持って行ってました。(移動中、車の冷房もかなりきかせて行ったようです笑)

 

退院の準備と退院後について

 

 【退院準備】

退院の前日、点鼻薬を入れる練習やこれからのかかわり方を教えてもらうため、ファミリーケア室という、退院準備のお部屋で母子同伴で入院しました。

二人で過ごす時間は産院以来で、とても嬉しかったのですが少し緊張していました。

大丈夫かな、ペースメーカーはずしているけれど呼吸が苦しくなった時、ちゃんと分かってあげられるかな、点鼻は上手にさしてあげられるかな。

担当の看護師さんはとても親切でミルクを用意してくれたり、めん棒を持ってきてくれたり、私の不安を汲み取ってたくさん話しかけてくれました。

不安な夜を、無事に乗り越えて・・・ 入院生活10日間。やっと家に帰ってきました。

 

【退院の事務手続き】

保険証医療受給者証の手続きはなるべく早く済ませておいたほうが良いです。

NICUの入院治療は高額です。(保育器の使用や使用する薬剤などにより料金は変わります)保険対象外の料金の支払いが発生します。

長男の場合、市に申請した医療受給者証の提示により、かなり軽減されました。(目安ですが、10日の入院で10万円掛かりませんでした)

 

【経過観察】

退院後、新生児科に毎月一回、経過観察の診察に通うことになりました。

(発達の様子や鼻腔の狭窄音などチェックしてもらっていたので、市の5ヵ月検診には行きませんでした)

 

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一ヵ月後のお鼻を確認すると、やっぱり右側の鼻の穴が小さいのがわかります。

 それでも、成長とともに鼻の穴も鼻腔自体も大きく広くなりました。

 

自宅では、目薬のような容器に入っている「プリビナ点鼻薬0.05」を1日3回

①呼吸が苦しそうなとき(顔が青白くなる)

②泣いて鼻が詰まった時

③ミルクや母乳を飲む前

など、赤ちゃんの様子を観察しながら投薬していました。

 調子がいい時はスキップ(使用しない)してOKでした。

 

生後6ヵ月になると、新生児科の診察は3ヶ月に一回になりました。

そのころから、点鼻薬を使わないで過ごせる日が増えてきました。

 

そして・・・1歳2ヶ月、新生児科を卒業となったのです。

 

 

さいごに

NICUで過ごした長男のこうした経験・情報が、これから入院する(かもしれない)赤ちゃんのママさんやパパさんのお役に立てればいいなぁと思います。

子どもによって、病院によって、ご家族の判断によって、治療方法は様々です。もちろん料金や事務手続きなども同じく、あくまでも参考程度にされてくださいね。

 

 

向日葵

*1:気道確保や、前根沈下を予防するために用いられる管状の医療器具

*2:鼻粘膜や 結膜の充血抑制作用がある